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持続可能な地球のために、マイクロバイオータの知識を提供
“反芻動物におけるメタン排出を理解し、より良い削減方法を考える”
研究者や畜産家は、①増加する世界人口を支えるための安全で健康な食糧を供給する、②環境的に持続可能な方法を用いる、という異なる2つの目標に向けて努力を続けています。
家畜からのメタン排出量は、その他の人間活動(例:輸送や工業)からの温室効果ガス排出量と比べると比較的少ないと言えます。しかし畜産業界は、気候変動に抗うための国際的な努力として、新しい研究や管理の実践に積極的に取り組んでいます。
ラレマンドアニマルニュートリションの研究マネージャーであるフレデリック チャウチェイラス-デュランド博士は、ルーメンマイクロバイオータ(微生物相)を理解し利用することが、この目標の達成につながると信じています。
ラレマンドアニマルニュートリションはルーメンマイクロバイオータの専門家として、長年の研究パートナーであるフランス国立農業・食糧・環境研究所(INRAE)が主導するメタン排出に関する共同研究チームの一員を、他の10団体と共に担っています。ここでの研究は、定量化、理解、予測の3つの柱で構成されています。目指しているゴールは、 反芻動物飼養由来のメタン排出量を減少させるための実践的な解決策につながる、アイディアとガイドラインを提供することです。
2021年1月20日、INRAEとフランス家畜改良協会(Institut de l’Elevage)は、 “反芻動物におけるメタン排出を理解し、より良い削減方法を考える” と題したウェブカンファレンスを開催しました。
このカンファレンスにおいて、フレデリック チャウチェイラス-デュランド博士は、“消化管内からのメタン排出を減らすために、ルーメンマイクロバイオータに注目する理由”という演題で発表を行いました。
“ルーメン微生物は飼料消化の主役であるとともに、一部はメタン生成に関わっています。ルーメン発酵プロセスをより理解することによって、メタン排出に影響を及ぼす栄養要因を把握できるようになります。特に水素(H2 )は、メタン産生の中核的な役割を担っています。そのためルーメン微生物による水素産生を減らす、または水素の消費量を増やすことが、メタン排出を減らすことにつながります。”
飼料を変更することによって、ルーメン内での水素の産生と利用のバランスに影響を与え、メタン排出量を減らすことができます。 1つの例として、アマニ油と硝酸塩の組み合わせは、肥育牛からのメタン排出を 9% 減らしました (Doreau et al., 2018)。この結果はルーメンマイクロバイオータの変化によって説明することができます。この試験では、水素を産生するルミノコッカス科細菌が減少するとともに、硝酸還元細菌の相対存在量が増加し、特定のメタン生成古細菌(メタノマッシリイコックス科)が有意に減少しました (Popova et al., 2017)。
参考資料(フランス語): https://journees3r.fr/spip.php?article4902
投稿日 Mar 9, 2021 | 最終更新日 Jul 6, 2023