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豚への生菌酵母レブセルSBの給与:過剰な炎症のない健康な腸管免疫を維持しよう!
生菌酵母レブセルSBの作用機序
レブセルSBは、サッカロマイセス セルビシエ 変種 ブラディアイ CNCM I-1079という特別な生きた酵母菌株です。このプロバイオティクスを豚に給与する目的は、なによりも健康な腸管の働きを維持することです。主な作用機序には、次の3つが挙げられます。
- 腸内微生物のバランスの改善:レブセルSBは腸管内の酸素を除去し、腸内で好ましい細菌が生育しやすい嫌気環境を作ります。増殖が促される好ましい細菌の一例としては繊維分解細菌があげられ、繊維の発酵による腸管内での短鎖脂肪酸(豚のエネルギー源)の産生が促されます。
- 健康な腸管構造の維持:レブセルSBの給与によって、適切な腸管絨毛長を維持できることが分かっています。また腸管上皮細胞間のタイトジャンクションの接着性を保つことで、健康な腸管バリア機能の維持に貢献します。
- 過剰な炎症のない適切な腸管免疫の維持:
レブセルSBには、局所レベルおよび全身レベルで免疫反応を調節する働きがあることが分かっています。豚に炎症を引き起こす様々な課題に対して防御能を適切に保つことは、健康な腸管の維持につながります。
レブセルSBの給与は、免疫反応を調節
今回の記事では3つ目の作用機序である「過剰な炎症のない健康な腸管免疫の維持」に着目したいと思います。さっそくレブセルSBの給与が局所レベルおよび全身レベルで免疫反応に及ぼす影響について、給与試験データをご紹介いたします。
<レブセルSBの給与による局所レベルでの免疫反応の調節>(Bautista-Marin et al., 2020)
供試動物:20日齢で離乳した全30頭の子豚を次の3区に割り当て
- 抗生物質区:リンコスペクチン 0.05%添加
- LSB区:レブセル SB 2×109 CFU/飼料 kg添加
- 対照区:抗生物質の添加なし
この試験において離乳7日目の腸管絨毛の構造を観察したところ、対照区の子豚の腸管絨毛は抗生物質区よりも明らかに萎縮していました(図1)。一方でレブセルSBを添加した子豚では、適切な絨毛長が維持されており、抗生物質区の子豚に近い腸管絨毛を示しました。
図1. 離乳後7日目の子豚の腸管絨毛(ヘマトキシリン・エオジン染色)
さらにこの試験では炎症マーカーとして、インターロイキン6と腫瘍壊死因子αについて、回腸内濃度を分析しました。これらのサイトカイン濃度が高いことは、局所的な炎症が起こっていることを表します。レブセルSB区の炎症マーカー値は、対照区よりも少ない値を示し、抗生物質区とほぼ同レベルとなりました(図2)。
図2. 離乳後7日目の回腸のインターロイキン6濃度
これらの結果は、レブセルSBの給与によって局所的炎症のない健康な腸管が保たれたことを示しています。
<レブセルSBの給与による全身レベルでの免疫反応の調節>(Collier et al., 2010)
供試動物:全30頭の離乳子豚を次の2区に割り当て
- 対照区:抗生物質の添加なし
- LSB区:レブセル SB 2 x109 CFU/飼料 kg添加
この試験では非常に厳しい負荷として、経静脈留置カテーテルによって離乳子豚にLPSを投与しました。LPSの注射は非常に強い炎症を引き起こすため、全身性の急性炎症のモデルとして用いられます。炎症マーカーとして血漿中のコルチゾール、インターロイキン1β、インターロイキン6の濃度を調べたところ、レブセルSB区の子豚は、対照区と異なる反応を示しました(図4)。飼料にプロバイオティクスを添加するという簡単な方法によって、炎症に対する子豚の反応を変えられることが示された興味深い試験です。
図4. LPS投与後のインターロイキン1βの血漿濃度(pg/ml)
以上の結果から生菌酵母レブセルSBの給与は、局所的な炎症だけでなく、全身性の炎症の調節にも関わっていることが明らかになりました。
まとめ
豚へのレブセルSBの給与は、適切な絨毛長と腸管バリア機能の維持につながります。またレブセルSBの給与は、腸管内の局所的および全身レベルの炎症反応の調節に影響を与えることで、飼料中の栄養素の利用を効率化します。豚はより多くのエネルギーやアミノ酸などの栄養素を、炎症反応ではなく増体に用いることができるようになります。
レブセルSBのこれらの働きは、豚の飼料効率の改善だけでなく、離乳期子豚への投薬回数や、薬理学的濃度の酸化亜鉛の添加の削減にも貢献します。これは最終的に、全体的な農場収益性の改善につながります。
レブセルSBにご興味がある方は、
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投稿日 Mar 28, 2024 | 最終更新日 Apr 18, 2024